役員ご挨拶

 

 就任のご挨拶

2023年4月から2023-2024年度の会長に就任しました來田享子です。

欧米で発展したスポーツが日本に伝わったのは、明治時代初期のことでした。
海外から日本に居留した人々を通して、あるいは、海外の文献を通じて紹介された学校での遊びを通して、日本に浸透していきました。
ローンボウルズは、そのひとつであったと考えられます。
たとえば、日本で最も初期の児童遊戯書とされる『戸外遊戯法−名戸外運動法』(1885年、坪井玄道・田中盛業編纂)には、「投球(ボールス)」という名前でサッカーやテニス、野球などとともに、ローンボウルズが紹介されています。
しかし、海外ではプロ選手が存在するにもかかわらず、日本におけるローンボウルズの競技人口は多いとはいえません。

ローンボウルズは、あえて重心を偏らせた特徴的なボウルを使います。そのボウルが、速すぎず、遅すぎずに転がる芝生のレーンが必要です。芝生の敷き詰められた地面は、可能な限り凹凸のない、平らなものであることも求められます。このような用具やプレーフィールドの特徴は、ジャック(目標球)にボウルを近づけるというシンプルな競技を奥深いものにする一方で、普及の面では障壁となってきました。

パワーや速さが求められる多くの競技と異なり、ボウルズではむしろパワーや速さを抑制する技術が求められます。チームプレーでは、対戦チームのボウルも含めて、他者が芝の上に残した結果をどのようなものであれ活かす技術が求められます。こうした競技の性格は、ローンボウルズ日本の運営面にも反映され、年齢・性別・障害などの違いを活かした活動に結びついています。

現在の社会では、「力」があることだけが讃えられ、他者の存在を顧みない社会のあり方が人間の人間らしさを失わせていく風潮、SNS等で流れ込む情報を鵜呑みにし、自ら深く思考しない傾向などに、警鐘が鳴らされています。このような社会の課題を解決する道のりにとって、ボウルズは多様性の承認、共生、共創をめざす社会への手がかりを身体で感じさせてくれるスポーツであるといえるのではないでしょうか。

少し難しい視点からローンボウルズの魅力を書いてみましたが、何よりも、ジャックに向かって集中し、手を離れたボウルが停止した位置に一喜一憂する時間は何にも代えがたいものです。ゲームが終わった後の喉の渇きを癒やしてくれる一杯も格別です。国際大会ではゲームの勝者が敗者にこう呼びかけます。“It’s on me!” そうして互いにゲームを振り返り、ジャックと向き合う次なる新しい自分を整えていくのです。

このたび、ローンボウルズ日本の会長に就任いたしました。
1990年代に日本には女子選手を統括する組織が存在せず、国際大会への派遣ができませんでした。
1993年に女子の国際大会への道を拓くべく、日本女子ローンボウルズ連盟を設立したことをご縁として、この機会をいただくこととなりました。
社会課題の解決にスポーツの価値を活かすことが求められている今、ローンボウルズの魅力と価値を発信し、いささかでもより良い社会づくりに貢献できるよう、挑戦的に取り組んでいくことができればと考えています。多くの方のご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

2023年4月9日
認定NPO法人ローンボウルズ日本 会長 來田享子

 

 就任のご挨拶

2023年4月から理事長に再任されました
児島久雄(兵庫車椅子クラブ)です。

振り返りますと2021年度はコロナ禍がまだ収まらず大会開催もままならない中でありながら、会員の皆様には感染対策と折り合いをつけながら練習だけは営々と重ねていただいた年でした。
昨2022年度は少しずつ感染者も少なくなり大会も何とか再開できるようになり、10月には従来よりは若干小規模となったものの海外3カ国から4チームを招待しての第7回ジャパンオープン国際ローンボウルズ大会を無事に成功裏に開催できました。
これらはひとえにローンボウルズという素晴らしいスポーツの火を消してはならないという会員の皆様の熱い思いの賜物であると感じており、心よりお礼申し上げます。

残念ながら、この間において登録会員数は減少傾向が続いてしまいましたが、2023/2024年度は反転攻勢に出なければならない時であると思っております。
先日の4月9日に開催された理事会の席上ではその課題に関する役員の前向きの議論が展開されたことを心強く感じております。
今年2月には4年ぶりの開催となるアジア選手権大会がマレーシアのイポーで開催され日本からも男女のフル種目に選手を派遣しましたが、特筆すべきはLC京都クラブから島 瑚々奈選手(11才、小学校6年生)、島 隆斗選手(17才、高校2年生)がアンダー25種目(25才以下の選手によるシングルスおよびミックスペアーズ)に出場したことでした。
アジアの各強豪国(マレーシア、香港、タイ、シンガポールなど)はいずれもユース育成制度を持っていて一般選手と比べてもほぼ対等と言えるレベルの選手が出て来ていますが、島兄妹はそれに対して臆することなく堂々と最後まで粘り強く戦い、観客からも暖かい注目を集めていました。両選手にとって今後の成長につながる大変良い経験となったと思います。2023年度はさらに8月は世界選手権大会(これには今年度から障がい者種目も追加されました)、10月にはアジアパラ競技大会が予定されていて、それぞれの大会に派遣される選手も既に決定しています。

これらの選手の競技力を高めるのも大事ですが、そのためにはなんといっても先ずは競技人口を増やすことで底辺を拡大することが最優先課題だと思います。
山の頂点を高くするためには山の裾野を広げることが重要であることがどんな分野にとっても基本中の基本とされています。
関東ローンボウルズ協会と関西ローンボウルズ協会の役員の皆様ならびに所属クラブおよび会員の皆様のお知恵をお借りしながら、ローンボウルの将来を見据えての底辺拡大を促進したいと思っています。
本部役員も今年度からかなり若返りがはかられ、また女性理事の数が増えました。このフレッシュな方々のエネルギーを思う存分に発揮していただいて、例えば各地域のスポーツ協会、学校等に話を聞いてもらう、体験会等を開く等々を根気よく続けるなど出来る所から進めたいと考えています。

これからの2年間を、あらためてよろしくお願いいたします。

2023年4月9日
認定NPO法人ローンボウルズ日本 理事長 児島久雄