役員ご挨拶

 

 就任のご挨拶

前期に引き続き、2025-2026年度の会長に就任しました來田享子です。

欧米で発展したスポーツが日本に伝わったのは、明治時代初期のことでした。
海外から日本に居留した人々を通して、あるいは、海外の文献を通じて紹介された学校での遊びを通して、日本に浸透していきました。
ローンボウルズは、そのひとつであったと考えられます。
たとえば、日本で最も初期の児童遊戯書とされる『戸外遊戯法−名戸外運動法』(1885年、坪井玄道・田中盛業編纂)には、「投球(ボールス)」という名前でサッカーやテニス、野球などとともに、ローンボウルズが紹介されています。
しかし、海外ではプロ選手が存在するにもかかわらず、日本におけるローンボウルズの競技人口は多いとはいえません。

ローンボウルズは、あえて重心を偏らせた特徴的なボウルを使います。そのボウルが、速すぎず、遅すぎずに転がる芝生のレーンが必要です。芝生の敷き詰められた地面は、可能な限り凹凸のない、平らなものであることも求められます。このような用具やプレーフィールドの特徴は、ジャック(目標球)にボウルを近づけるというシンプルな競技を奥深いものにする一方で、普及の面では障壁となってきました。

パワーや速さが求められる多くの競技と異なり、ボウルズではむしろパワーや速さを抑制する技術が求められます。チームプレーでは、対戦チームのボウルも含めて、他者が芝の上に残した結果をどのようなものであれ活かす技術が求められます。こうした競技の性格は、ローンボウルズ日本の運営面にも反映され、年齢・性別・障害などの違いを活かした活動に結びついています。

現在の社会では、「力」があることだけが讃えられ、他者の存在を顧みない社会のあり方が人間の人間らしさを失わせていく風潮、SNS等で流れ込む情報を鵜呑みにし、自ら深く思考しない傾向などに、警鐘が鳴らされています。このような社会の課題を解決する道のりにとって、ボウルズは多様性の承認、共生、共創をめざす社会への手がかりを身体で感じさせてくれるスポーツであるといえるのではないでしょうか。

少し難しい視点からローンボウルズの魅力を書いてみましたが、何よりも、ジャックに向かって集中し、手を離れたボウルが停止した位置に一喜一憂する時間は何にも代えがたいものです。ゲームが終わった後の喉の渇きを癒やしてくれる一杯も格別です。国際大会ではゲームの勝者が敗者にこう呼びかけます。“It’s on me!” そうして互いにゲームを振り返り、ジャックと向き合う次なる新しい自分を整えていくのです。

図らずも2年前からローンボウルズ日本の会長に就任いたしましたが、振り返りますと
1990年代に日本には女子選手を統括する組織が存在せず、国際大会への派遣ができませんでした。
そして1993年に女子の国際大会への道を拓くべく、日本女子ローンボウルズ連盟を設立したことをご縁として、この機会をいただくこととなりました。
社会課題の解決にスポーツの価値を活かすことが求められている今、ローンボウルズの魅力と価値を発信し、いささかでもより良い社会づくりに貢献できるよう、挑戦的に取り組んでいくことができればと考えています。多くの方のご理解とご協力をいただきますよう、引き続きよろしくお願いいたします。

2025年4月6日
認定NPO法人ローンボウルズ日本 会長 來田享子

 

 就任のご挨拶

2025年度より認定NPO法人ローンボウルズ日本の理事長を新たに務めることとなりました、小山 潤です。よろしくお願い致します。

2004年、当時私が大学2回生の頃に、大学の体育の授業でローンボウルズに出会い、そこから20年以上、ずっとこのスポーツを続けています。飽きっぽい私が、この競技だけはずっと飽きずに続けています。それどころか、選手としてまだまだ上手くなれると信じており、この素晴らしいスポーツを一人でも多くの人に知ってもらいたいと、競技の輪を広げていきたい、その一心で、理事長の職をお預かりすることと致しました。

ボウルズを始め、多くのスポーツの起源とされている英国には、このような言葉があるようです。

「フットボールは、少年を大人にし、大人を紳士にする」

これはフットボールに限らず、ローンボウルズも同じだと思います。おそらく、全てのスポーツの源流には共通のものがあり、競技を通じて、私たちはそれを学び、教えられるのです。その経験や学びの中で、人として大切なものを育み、成長した私たちが更に社会を豊かにしていくのだと思います。

私は前述の通り、長年に渡りローンボウルズをプレイし、代表チームでもプレイするチャンスを頂いていますが、特に海外のトップ選手たちとプレイするとこの言葉を実感します。先月来日した香港のユースチームの選手たちの振る舞いを見ても、その礎を感じました。

ご存じの通り、ローンボウルズは老若男女、障がいの有無にかかわらず、誰もが同じルールのもとプレイできる、ユニバーサルスポーツです。グリーンの上では、みんな一緒です。それぞれに目標があり、普段からその目標の達成のために、努力を続けているのです。他ならぬ私は、相手が誰であっても、常に真剣勝負です。真剣勝負の場で、負けて嬉しい人などおりません。誰もが同じです。ただ、勝負とは別のところで、『相手を思いやる気持ち』はとても大切だと思っています。それはチームメイトにも、対戦相手に対しても、です。ちょっとしたことですが、対戦相手にボウルを拭いて渡したり、車いすを押すお手伝いをしたり、それはゲームの勝ち負けとは違う、互いに気持ちよくプレイできるという部分です。相手の素晴らしいショットを讃えたり、こちらの意図せぬラッキーショットを相手に詫びたりもそうです。その気持ちが、そんな振る舞いの一つ一つが、先に述べた言葉に集約されているのではないかと思います。私たちは、ローンボウルズを通じて、「すべての人が目標を持って生きられる社会」を作っていきたいと思っています。大袈裟な表現かもしれませんが、グリーン上では、誰もが自己の目標を追求し、清々しい汗を流しています。そこには何の境界線もありません。これがローンボウルズの醍醐味なのです。

残念ながら、この20年で会員の数は緩やかに減少しており、現在では会員数は全国で200名程です。各地で体験会や若いボウラーを対象とした教室を開くなど、様々な取り組みをして頂いていますが、まだまだ足りません。私からのお願いです。Bowls Japan、関西協会、関東協会、各クラブ、各会員一丸となり、ローンボウルズの愛好者を是非増やしていきましょう。身近なお友達やご家族、色々な人を誘って、是非グリーンにお出かけください。積極的に交流をしてください。SNS(FacebookやInstagram等)への投稿もどんどんしてください。そして、今年1年で、会員数を300人にしましょう。皆さんの少しの工夫で、大きく変わります。グリーンはもっともっと盛況になります。

また、今年度は9月にジャパンオープンから名称を改め、第1回ジャパンカップをしあわせの村にて開催致します。海外から各国の代表選手をお招きし、盛況に行いたいと考えています。選手として、また、大会を支えて頂くボランティアとして、是非皆さんのお力添えをお願い致します。選手として出られる方は、海外チームに上位独占を許さぬよう、頑張りましょう!皆さんの応援もお願い致します。このジャパンカップが、コロナにより延期となりました、2027年のワールドマスターズ関西につながっていくと信じています。そこにたくさんの海外選手が参加頂けるよう、ワールドマスターズに向けての良い道筋になればと思います。

最後になりましたが、本BJブリテンは241号の発行を迎え、創刊以来20年を超えることになります。ちょうど私がボウルズを始めた頃に、このブリテンがうぶ声を上げ、20年の記念すべき時に、理事長としてのご挨拶を掲載頂けることに、不思議なご縁を感じます。ここまで、1号も絶えることなく、全国のボウラーに様々な情報を届けて頂き、ボウルズジャパンの歴史を紡ぎ続けて来て頂いたボウルズジャパン総務部の森さん、藤川さん、はじめ、発行にご尽力いただきました全ての皆様に感謝申し上げるとともに、これから先も続いていきますよう、私たち全員でローンボウルズ界を盛り上げていきたいと思います。引き続き、皆さんのご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い致します。

2025年4月6日
認定NPO法人ローンボウルズ日本 理事長 小山 潤